上の橙色の句を菊の葉に書き、葉より滴り落ちる滴を飲んで七百年間、昔の慈童の姿のまま生き続けている不老長寿の 話が菊慈童(枕慈童)です。
魏の文帝に仕える一家臣が宣旨により、酈縣山の麓から湧き出る薬の水の源を探査に赴きました。 すると、山中に人が住んでいるとも思えぬ庵を発見します。あやしく思い事の様子を窺っているうちに、 庵の中から人が現れました。如何なる者かと問うと、私は周の穆王に使えていた慈童だと答える。 周の穆王といえば、七百年も昔のことなので、臣下はいよいよあやしく思い化生の者であろうと問う。 慈童は、穆王から二句の偈を書き添えた枕を賜っていると答え、それを示すので、臣下は疑いを解き、 二句の妙文の功徳を感じる。慈童は七百年を生き続けている事の佛徳による所以を説き、 この山の菊の露が滴り落ちて人里に流れ出て薬の水となり、これを汲んで飲む者は皆不老長寿になる謂れをかたり、 さらに帝徳の有難きを讃え、楽を奏して、やがて咲き乱れる菊の花を押し分けて、慈童は仙家に帰っていった。
此妙文を菊の葉に。おくしただりや露の身乃。不老不死乃薬となって七百歳を送りぬる。
汲む人も汲まざるも。延ぶるや千年なるらん。面白の遊舞やな。
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